蜂の巣が一日でどれだけ大きくなるか、という問いに対する答えは、実は一様ではありません。なぜなら、その巣の主である蜂の種類によって、巣の成長速度、最終的な大きさ、そしてそれに伴う危険度が全く異なるからです。私たちがよく見かける蜂の巣を例に、その違いを見ていきましょう。まず、比較的おとなしいとされる「アシナガバチ」。彼らの巣は、お椀を逆さにしたような、あるいはシャワーヘッドのような形で、六角形の部屋がむき出しになっています。その成長はスズメバチに比べると緩やかですが、それでも油断は禁物です。最初は数センチの小さな巣が、働き蜂の数が増えるにつれて少しずつ拡張され、最盛期には直径15センチほどにまで成長します。次に、都市部で最も問題となることが多い「キイロスズメバチ」。彼らの巣の成長スピードは、まさに驚異的です。女王蜂が作る初期の巣は、とっくりを逆さにしたような可愛らしい形をしていますが、働き蜂が羽化し始めると、その姿は一変します。美しいマーブル模様の外皮で巣全体を覆いながら、球状に急速に拡大していきます。条件が良ければ一日で数センチも大きくなり、最盛期には直径50センチを超えるバスケットボール大の巨大な要塞を作り上げます。巣のサイズに比例して蜂の数も攻撃性も増すため、最も注意が必要な相手です。そして、最強の蜂と名高い「オオスズメバチ」。彼らは主に土の中や木の洞といった閉鎖的な空間に巣を作るため、私たちが巣の成長を直接目にすることは稀です。しかし、その内部では、他のスズメバチ同様、凄まじいスピードで巣が拡張され、数千匹もの個体を抱える巨大なコロニーが形成されます。蜂の種類ごとの成長速度の違いを知ることは、目の前にある巣の危険度を正しく判断し、適切な対応をとるための重要な知識となるのです。
蜂の種類で違う?巣の成長速度と危険度